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242号(2023年11月号)今、こんな仕事をしています

公共公益施設が閉鎖された後の利活用のあり方に関する検討を進めています


文部科学省の調べによると平成14年度から令和2年度の10年間に廃校となった小中学校は8千5百を超えるそうですが、学校以外にも人口減少や市町村合併による施設の余剰や老朽化などから、公共公益施設が閉鎖されるケースは多く見られます。

 文部科学省の調べによると平成14年度から令和2年度の10年間に廃校となった小中学校は8千5百を超えるそうですが、学校以外にも人口減少や市町村合併による施設の余剰や老朽化などから、公共公益施設が閉鎖されるケースは多く見られます。
 今年度、このような閉鎖施設の利活用に関する検討業務を2つ実施しています。
 一つは埼玉県坂戸市にある廃校した小学校、もう一つは東京都府中市が山梨県に保有する山荘の利活用に関する検討です。いずれも市民や地域の思いが強いほか、周辺との関係の中で利活用のあり方を定める必要のある施設となります。

■旧城山小学校
 坂戸市西坂戸地区は市中心部から車で20分ほど離れた郊外部に位置しており、昭和40年代に整備された住宅団地を中心とする地区となっています。少子高齢化や地区内商店街の衰退などオールドニュータウン化が進んでいる中で、平成27年に地区内の城山小学校が廃校となり、以降利用されないままの状態が続いていました。
 旧城山小学校は、校舎とグラウンドの間が大きな斜面地となっており一体的な活用には課題があるとともに、校舎の老朽化など、施設の利活用に向けた課題がある中で、今後の地区のまちづくりに寄与する利活用のあり方を模索しています。高齢化が進む現在の地区の課題を中心に対応するのか、将来を見据えた利活用を図るのか、あるいは地区の活性化に向けた新たな展開を目指すのか、今後、地域の人の意見も伺いながら方向性を詰めていく予定です。

地区内のシャッター通りとなった商店街

地区内のシャッター通りとなった商店街

中庭を囲む「ロの字」型の校舎

中庭を囲む「ロの字」型の校舎


■八ケ岳府中山荘

 避暑地として人気の清里にほど近い山梨県北杜市の県有林の中に八ケ岳府中山荘はあります。周辺は学校寮地区と呼ばれる都内の自治体が保有するセカンドスクールなどが集積したエリアとなっています。
 府中山荘は昭和40年代から50年代にかけて建設され、市内の小中学校が夏季のセカンドスクールとして利用してきた施設です。しかし築40年程度が経過する中で施設の老朽化・不具合が生じるようになり現在は臨時休館しています。セカンドスクール自体は他の施設を利用する方針となり、今後の山荘のあり方について検討を行っています。
 基本的には民間事業者に施設を譲渡して活用してもらう方向ですが、地権者である山梨県の意向や周辺環境との調和など、利活用に向けた要件を満たす必要があります。
 今年度は民間事業者に対するサウンディング調査を実施し、利活用に向けた意向や課題などを聞き取り、今後の施設のあり方に関する方向性について検討しました。
 業務対象の2つの施設は立地環境は大きく異なるものの、市民や地域の思いの強い施設であることが共通しており、今後の利活用についても、いかにその思いを汲んで理解してもらえる方向性を打ち出せるかが大切となりますが、今時点では直接声を聴く機会がなく、手探りでの検討となっているのを心苦しく感じながら進めているところです。

レンガ貼りによる落ち着いたたたずまいの正面玄関

レンガ貼りによる落ち着いたたたずまいの正面玄関

施設内には展示ホールもある

施設内には展示ホールもある

ソーシャル・イノベーティブデザイングループ 山﨑将也

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