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239号(2023年5月号)特集「空」

スカイスクレイパーにはオープンスペースがよく似合う


バベルの塔、人々は天にも届く高い塔を建てようとして神の怒りを買い、崩されてしまった物語ですが、現代では、鉄とガラスとコンクリートを用いて、世界中の都市で超高層ビルが建ち並んでいます。超高層ビルは英語でスカイスクレイパー(Skyscraper)、直訳すると「空をこするもの」の意味だそうです。

 バベルの塔、人々は天にも届く高い塔を建てようとして神の怒りを買い、崩されてしまった物語ですが、現代では、鉄とガラスとコンクリートを用いて、世界中の都市で超高層ビルが建ち並んでいます。超高層ビルは英語でスカイスクレイパー(Skyscraper)、直訳すると「空をこするもの」の意味だそうです。商業主義的な見方をすれば、床を増やそうとして天にも届きそうなくらい高く積み上げている、現代人は何とも強欲であると捉えられてしまうかもしれません。
 私は元々、自然や生き物が好きですが、一方で、大都市に超高層ビルが建ち並ぶ風景も好きです。都市を捉えるイメージとして、特徴的であったり、美しかったり、他を圧倒するような存在感であったりと、ランドマークとなるような超高層ビルに魅力を感じており、眺めているだけで興味深いものです。
 大阪に住んで5年が経ちましたが、名古屋から来た私にとっては、大阪はとても大きなまちです。本稿の執筆をきっかけに、個人的にいいなと思う超高層ビルを目掛けて、改めてまちをうろうろ(まちを観察)してみました。
 まず向かったのは、空中庭園とそこに至る空中のエスカレーターが特徴的な梅田スカイビル。京都駅ビルとも共通するようなポストモダン的で、フランスのパリのグランダルシュ(通称:新凱旋門)のような巨大な門型のフレームは、新たなランドマークをつくりたかったんだという強い意思を感じさせます。個人的にいいなと思う眺めは、離れた位置からの遠景です。北側の淀川の河川敷越しからは、遠くに梅田のまちの高層ビル群が建ち並ぶ中に、周りのビルと比べて強烈な存在感を放っている梅田スカイビルの門型のシルエットが浮かぶ光景を見ることができます。

淀川の河川敷越しに見える梅田スカイビルと高層ビル群

淀川の河川敷越しに見える梅田スカイビルと高層ビル群

 次に、日本一高い超高層ビル、あべのハルカス。ビルの真下に行くと、どれだけ高いのか、いまいち感覚的に分かりにくいため、天王寺公園エントランスエリア(てんしば)に移動しました。イベントが行われていて賑やかな芝生広場越しに見るあべのハルカスは、(周りに高層ビルが少ないこともありますが)なお一層高さが際立っています。まさに圧倒的なランドマークです。

芝生広場の奥に見える圧倒的な高さのあべのハルカス

芝生広場の奥に見える圧倒的な高さのあべのハルカス

 最後に、東西のツインタワーがランドマークとなっている中之島フェスティバルタワー。超高層ビルの高さに加えて、それが2棟並んだ間の道路を進んでいくと、まるでファンタジー映画に出てくる神話の世界の巨大な門柱のようにも見えます。ビルの足元を通り抜けた後は、堂島川・土佐堀川沿いを歩いて行くと、ビルのガラスと川面と空の青が調和してとてもきれいで、思わず見とれてしまいました。

中之島フェスティバルタワーと川面と空の青

中之島フェスティバルタワーと川面と空の青

 なるほど、実際に自分の足でコンクリートジャングルを歩きながら、生き物を探すようにまちをうろうろ観察していると、無意識のうちに、開けた場所、公園、水面などの空地(オープンスペース)を探していました。コルビュジエ大先生が一連の都市計画案の中で林立する超高層を描きながらオープンスペースをしっかり確保していたことを思い出しながら、空地ってやはり重要なんだと、そして、超高層ビルには空地がよく似合うなと思いました。

建築プランニング・デザイングループ 杉本健太朗

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