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236号(2022年11月号)特集「器」

料理×器


今回のテーマ「器」で思い浮かんだのは、やはり毎日使う食器です。ヒャッキンの器、海外ものの器も世にあふれていますが、私は地元の陶器を好んで使っています。

 今回のテーマ「器」で思い浮かんだのは、やはり毎日使う食器です。ヒャッキンの器、海外ものの器も世にあふれていますが、私は地元の陶器を好んで使っています。
 愛知には、常滑焼、瀬戸焼という日本六古窯のうちの2つがあり、今も多くの人に愛されています。常滑焼は鉄分が多い赤茶色の急須が人気ですが、かつては土管やレンガ、タイルづくりも盛んで、東京駅丸の内駅舎復元にも常滑産レンガが使われたそう。常滑焼に囲まれ〝てくてく〟できる「やきもの散歩道」は、映えスポットとしても人気です。
 瀬戸焼は「釉薬」を用いて陶器を完成された日本最古の焼き物で、唯一、中世から釉薬を施したやきものが発展した産地で、耐水性や耐久性に優れ、日常使いに重宝されてきました。灰釉、鉄釉、古瀬戸、黄瀬戸、志野、織部、御深井と、色とりどり個性豊かな器たちが顔を並べます。
 彼ら・彼女らは伝統的な器でありながらも、いまどきの食卓にも溶け込み、シンプルな料理でも、彩りよく、時には滋味深さをまとわせてくれ、いかにも美味しそうに演出してくれます。
 自宅の食器棚にもいくつかの器が並び、自分が一番美味しく演出できるんだぞと、自らを主張してきます。キッチンで中身(料理)をこしらえたあとが、楽しくもコーディネート力が問われるマッチングの時間です。よく活躍してくれるのは、無骨ながらもなじみのよい織部と、柔らかで透明感のある御深井。人やビジネスに置き換えてみるとどうでしょうか。どの焼き物がマッチングしやすいのだろうと、ふと思いにふけり。

織部とみそおでん

織部とみそおでん

 執筆しているうちに、寒くなってきたし、なんだか温かみのある黄瀬戸もいいよね、となってきました。モノを増やしたくないのと、食器棚のスペースもないのとで、ここのところずっとぐっと我慢して、購入を控えていましたが、さて出かけようかな。中身を価値以上にしてくれる器は、私の毎日を豊かにしてくれていることは間違いないようです。

御深井といももち

御深井といももち

サスティナビリティマネジメントグループ 植松陽子

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