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236号(2022年11月号)特集「器」

器を壊してみると・・・?


「器」というテーマでふと思い出したのが、建築学科に入学してから1年の終わりに差し掛かったころに参加した、上回生の先輩が企画してくださった「UTSUWAな空間」というワークショップです。

 「器」というテーマでふと思い出したのが、建築学科に入学してから1年の終わりに差し掛かったころに参加した、上回生の先輩が企画してくださった「UTSUWAな空間」というワークショップです。
 タイトルからは既製の器を組み合わせて何らかの空間を想像するような内容をイメージしていたのですが、なんと、陶磁器でできたお皿やどんぶりをトンカチでたたき割り、その破片を組み合わせて何らかの空間を創造しようというものでした。
 最初から度肝を抜かれる説明を受け、これからどうなるんだと不安とわくわくが交互に入り混じりながらも、まずは恐る恐る器たちを割っていきました。ちなみに、トンカチでわざわざ器を割るのはこれが初めての経験でした。
 器たちは一瞬のうちに原形をなくし、元々の役割から解放されたように、大小さまざまな形の欠片となって散らばっていきました。
 今度はそれらを拾い集め、グループのメンバーと一緒に「空間」なるものを探します。破片と化した真っ平なお皿や一部だけ欠けたどんぶりなどを眺めたり組み合わせたりしながらどんなものができそうかを想像します。『もう少し大きければ空間ぽいものができそうなのに・・・』『この破片は何に使えるんだろう・・・』と苦戦しながらも、必死に手を動かして形にし、添景や背景と合わせて写真に収めました。

私たちのグループの作品

私たちのグループの作品

 最後に各グループで作品を発表し、ゲストの先生から講評をいただきました。他のグループでは、遠近法を上手に使ったかっこいい作品や、フォトショップで合成した綺麗な作品もありましたが、私たちのグループが作ったのは、破片を組み合わせた公園のようなオブジェのような、何とも言えない不思議な作品でした。
 正直なところ、作品自体はあまりうまくいったと思っていません。しかし、最初の「器を壊す」という行為がとても新鮮で、それまで大学で習っていたスチレンボードを使ったスタディ以外にもこんなの方法があるんだという気付きにつながり、私の既成概念まで覆すような強いインパクトのある体験となりました。
 今でも仕事などで悩みすぎていると、気づかぬうちにどんどん型にはまって抜け出せなくなるような感覚に陥ることがあります。そんなときは器のワークショップを思い出し、たまにはいつもと違うことをして発想の転換を図ってみようと思いました。

その他のグループの作品

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その他のグループの作品

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建築プランニング・デザイングループ 新開夏織

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