レターズアルパック

Letters arpak
   
234号(2022年7月号)まちかど

2年ぶりに「清水焼団地」の陶器市が開かれる予定です


清水焼団地は、創立者が一世代上で、先輩格ですが、生い立ちは、アルパックの草創期と重なっています。

 清水焼団地は、創立者が一世代上で、先輩格ですが、生い立ちは、アルパックの草創期と重なっています。
 1961年(昭和36年)5月、京都陶磁器協会を母胎に結成された「清水焼団地造成同志会」は翌年「清水焼団地協同組合」に改組されました。「団地」は、面積6.7ヘクタール。事業手法は、組合一人施行の土地区画整理事業です。組合は、マスタープラン作成を京都大学西山研究室へ委託しました。絹谷祐規助教授の担当でした。1963年(昭和38年)10月30日、料亭中村楼での総会に報告され、採択されました。都市計画事業ですが、京都市商工局所管で、木下稔局長がキーパーソンでした。
 そもそもの「目的」は組合員の健全経営です。1956年(昭和31年)5月に制定された「中小企業振興助成法」を活用するのです。信用金庫の融資担当者と都市計画の担当者がペアーを組んで、組合員を個別訪問し、300平方メートルを区画基準単位とし、所要の敷地・建物規模と売上・返済能力を協議しました。「経営指導」です。中小企業を相手に「よい会社をつくろう」と言いますが、簡単に決算書は見せてもらえません。作家さんなど、「帳面」すらない。「助成金」というニンジンが要るのです。
 「区画整理」は都市計画の技術的「手段」ですが、固有の役目があります。国道1号からの進入路「大石街道」を都市計画街路にしてもらい、減歩率を下げました。「合併施行」です。「業種別配置計画」は、街道よりには問屋、北には陶土、西の静かところには作家さんといった具合です。幅員12メートルの中央道路は、広すぎないかと言われましたが、1975年(昭和50年)から始めた「陶器まつり」のけっこうな会場になりました。都市プランナーには、造形デザインのセンスが求められるのです。

マスタープラン

マスタープラン

 こうして、1964年(昭和39年)11月30日、事業計画決定に到りました。区画整理事業で、建物が建て終わるにはほぼ10年掛ります。1966年(昭和41年)9月には、小川長楽さんと木村盛和さんの工房を設計しました。モデルです。都市プランナーは、建築もできますが、全部設計する必要はありません。建築事務所と協働すべきです。1969年(昭和44年)には概成し、11月13日、換地処分。「清水焼団地町」という町名ができました。組合は、2011年(平成23年)6月、創立50周年を記念して、お祝いをし、記念誌を刊行しました。
 創業前のアルパックのメンバーは、都市計画事業の実務を経験し、「目的と手段を間違ってはならない」というコンサルタントの原則を学びました。
 清水焼団地では、黒楽の三代目小川長楽、交趾焼の中村翠嵐はじめ、伝統様式と刷新運動をリードし、創造の息吹が脈打っています。
 お茶碗を買換え〝刷新〟しましょう。
※「清水焼の郷」の陶器市は、10月21日(金)~23日(日)。京都駅前から市バス直行便があります。

陶器市風景 記念誌より

陶器市風景 記念誌より

名誉会長 三輪泰司

234号(2022年7月号)の他記事

バックナンバーをみる

タグで検索

ページトップへ