レターズアルパック
Letters arpak適塾路地奥サロン報告
「パリの15分都市~人中心のまちをめざす都市再編~」(講師 立命館大学理工学部教授 岡井有佳氏)、「都市が人を生み、人が都市を生む ~「アーバニスト」としての都市への関わり方~ 」(講師 東京大学大学院工学系研究科准教授 中島直人氏)
「パリの15分都市~人中心のまちをめざす都市再編~」
講師 立命館大学理工学部教授 岡井有佳氏
(第45回 2022年5月13日)
第45回目を迎えた適塾路地奥サロンでは、岡井有佳氏をお招きし、車中心から人中心の都市へと転換を図っているパリの都市再編についてお話しいただきました。
講演では、市内全域でのゾーン30の導入やロータリーとなっている広場の歩行者空間の拡張、歩行者専用道路の拡大など、強力でセンセーショナルな施策を行っていることをご説明いただきました。
こうした施策の背景には、ヨーロッパで関心が高まっている環境問題や新型コロナウイルスの流行によるロックダウン、2024年に開催を迎えるパリオリンピックといった社会的な背景があることをご説明いただきました。これらの社会背景を本質的に解決しようとしたとき、都市として目指すべき姿は「人中心」と一つの答えにたどり着きます。背景は長期的な課題であったり、短期的な課題であったり、そもそも課題ではなく楽しみであったりと、様々ある中、施策として一つの解にたどり着くのは非常に興味深いと思いました。
私は人が使う都市を、人のためにデザインしたとき、都市は最大多数の最大幸福が得られるのではないかと思います。パリの事例を参考にしながら、日本や各都市のやり方で人中心のまちづくりが実現できないか、その方法を探していきたいと思います。(辻寛太)
「都市が人を生み、人が都市を生む ~「アーバニスト」としての都市への関わり方~ 」
講師 東京大学大学院工学系研究科准教授 中島直人氏
(第46回 2022年6月20日)
第46回では、中島直人氏をお招きしました。
前半では社会技術としての都市計画を専門家が担っていた時代から、アーバニストと呼ばれる様々な実践家が都市に生活し楽しみながら、魅力的な都市を計画・創造する現代までの歴史的経緯について説明していただき、後半では文化運動としての都市計画の実践例というテーマから、先生自身が関わっている上野でのアーツ&スナック運動と、有楽町アートアーバニズムについて紹介していただきました。
都市を計画することでそこにどんな人が生まれるのか、そこで生活することを楽しみながら「人」は都市の将来をどのように描くことができるか、そうした思考を往復しながら実践するアーバニストが、これからのまちづくりで重要な役割を果たすのではないか、という問いかけだったように思います。参加者からも自らの実践を交えた質問が投げかけられ、充実した講演となりました。私もこうしたアーバニストの一人でありたいと思います。(植田啓太)
適塾路地奥サロン実行委員会 辻寛太・植田啓太
234号(2022年7月号)の他記事
バックナンバーをみる
タグで検索