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234号(2022年7月号)特集「みず」

水と向き合い想いにふける


「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ 思ふ」百人一首に初めて触れた子供時代、自分の名字の漢字が入っているこの歌のことが気になり、意味を調べて、逢瀬と川の瀬をかけた歌だと知ったとき、そのおしゃれさに衝撃を受けました。

「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ 思ふ」

 百人一首に初めて触れた子供時代、自分の名字の漢字が入っているこの歌のことが気になり、意味を調べて、逢瀬と川の瀬をかけた歌だと知ったとき、そのおしゃれさに衝撃を受けました。そこから「恋ぞつもりて淵となりぬる」などの美しい比喩表現に魅了され百人一首が好きになったのを覚えています。
 その経験が影響しているのかは分かりませんが、tofubeats「RIVER」やペトロールズ「雨」など、想いを水にたとえた曲がとても好きです。古来も現代も人々は、捉えどころのなくコントロールできない想いを似た性質の水と重ね合わせ、内省的ではなく客観的に循環していく気持ちの良い流れとして思考をとらえようとしているのかもしれません。
 私も、悩んだときや疲れたときは海や川などを見に行き、好きな音楽を聴きながらただただ眺めます。使い古された表現かもしれませんが、雄大な水の流れを前に、もやもやしていた気持ちが流されていき、段々気持ちが凪いでいく感じがします。


 以前住んでいた福井には大好きな水辺が多く、悩みのあるなしに関わらず、九頭竜川・足羽川などの大きな川や、若狭和田・三国湊などのきれいな海に頻繁に通っていました。京都に越した今も、鴨川や桂川に散歩に行ったり、3ヶ月に1度は足をのばして海を見にいき水から力をもらっています。
 これからお気に入りの水辺を増やしたいと思っているので、皆さんのおすすめの水辺や、水辺で聴くのにぴったりの音楽がありましたらぜひ教えてください。

地域再生デザイングループ 高瀬咲

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