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222号(2020年7月号)まちかど

地域が醸してきたもの


滋賀営業所が位置するまちかどでは、800年前の賑わいを思い、100年前の姿を垣間見ることができます。

 滋賀営業所が位置するまちかどでは、800年前の賑わいを思い、100年前の姿を垣間見ることができます。
 「八日市」という地名から、どういう地域の成り立ちを想像するでしょうか。少し考えていると、自分が色々な推測をしていることに気づきます。漢字が持つ広がりが想像を促すのか、それとも地名であるということが知的な好奇心を刺激するのか、なんにせよ地名の背景を考えていくことは、楽しいことであると思うのです。八日市の由来は、「八の日に、市が立てられていたから」と言い伝えられています。単純でした。
 では由来の理由はどこにあるのでしょうか。八日市の地は、京都と東海・東山道を結ぶ幹線道上に位置しています。様々な人が行き交い、交易が行われる地理的条件を有しています。そして、源平盛衰記第十九巻に「蒲生郡小脇の八日市」に商品を仕入れに行くという記述があり、八日市という名前が歴史で初めて登場します。前後の文脈から、時代は1180年頃と推測されています。馬を連れた人や商人をはじめ喧噪の中、あらゆる人や物が行き交っている賑わいが想像されます。食べ物や土や空気といった様々な匂いが漂ってきそうです。

アルパックが支援した道路美装化

アルパックが支援した道路美装化

滋賀営業所外観

滋賀営業所外観

 八日市市は平成17年に近隣の町と合併し、東近江市になっています。現在改修を進めている滋賀営業所は東近江市八日市本町に位置しています。
 周囲には100年前から現存する建物や町屋がいくつか残っており、当時のまちの姿を垣間見ることができます。道は美装化されており、辿っていくとアーケードのある商店街にでます。古くから残るお店と共に、近年は大正時代に建築された古民家を改修した飲食店が出店し、地域おこし協力隊の方が営んでいるパン屋さんや革製品の販売兼カフェスペースなどの出店がされてきています。商店街エリアは様々な時代が交錯する空間です。
 この地域では、あらゆる時代を受け止め、建物や商店街といった空間や目には見えない気風のようなものを現代へと繋いでいます。さて、そんな地域に位置する滋賀営業所に、どのような機能を持たせるべきなのでしょうか。前号でお伝えしたように、単なる事務所機能だけではなく、地域に開かれたスペースにしたいと考えています。滋賀営業所という拠点があることで、八日市駅から商店街へ新たな人の移動が生まれることや、昼・夕方から夜へ続く時間の使い方ができるなど、既に地域に存在する魅力や資源を空間的に、時間的に、繋げていけるような構想を練っています。

検討の様子

検討の様子

 

小川直史:地域再生デザイングループ

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