レターズアルパック
Letters arpakベトナムの里山文化の紹介
ベトナム国土は「S」字のように南北に細長く広がっており、山地が西から東の海岸にせまっています。日本と同じように山が多く、ベトナム国土の4分の3は山ですが、その85%は標高1000m以下の低山です。
ベトナム国土は「S」字のように南北に細長く広がっており、山地が西から東の海岸にせまっています。日本と同じように山が多く、ベトナム国土の4分の3は山ですが、その85%は標高1000m以下の低山です。
国土の特徴から、山間地域の人口構成比が少なくなく、特に少数民族の居住地となっています。ベトナムでは、53もの少数民族が共存しており、総人口の約2割を占めています。キン族(総人口の8割)に比べて、少数民族は獣害対策としての棚屋を建てたり、ジビエ料理を中心とした食文化を持っていたり、カラフルな手織り生地を活かした衣装を着たりする等、特色ある文化を有しています。その中でも、無形文化遺産として認定されているのがベトナム中部高原で生活しているエデ族、バナ族、ジャライ族等のゴング文化です。
ゴングは石楽器の変遷とも思われ、昔、田園開発や農耕の開始される時に使われ、地元の人にとても敬愛される霊物です。ゴングには神が宿しているとも伝えられ、結婚や出産等めでたい時に演奏され、地域住民の絆を結ぶのに欠かせない霊物の一つです。ゴングと地域住民の生活スタイルを合わせた空間は文化的空間として国内外の注目を集めています。
また、国土の形がベトナム人生活に昔から大きく影響しており、里山里村に根ざした生活スタイルがベトナム人の生活文化形成の重要な要素の一つです。シーズンになると、里山のめぐみである山菜やジビエの燻製等が味わえ、里山は地元の人々の生活を支えています。
ちなみに、私は標高1000m位の高原地帯に位置する「Bao Loc」というまちに生まれ育ち、小さい頃から坂道を数えながら毎日、自転車で往復2時間程度かけ、自転車で学校に通いました。いつも汗をかきながら「大人になったら坂道のないまちに住みたい」と思っていました。大学に入ってから、平地のホーチミン市に引っ越しましたが、なぜか山が恋しくて山登りを始めました。
先日も「海の日」に日本三大急登の一つと言われている甲斐駒ヶ岳黒戸尾根(南アルプス)に登ってみました。やはり、言われる通りタイトなコースで、山頂まで登れず七合目にとどまり、テント泊にしました。体を鍛えて、いつか再挑戦したいと思っています。
ホアン ゴック チャン:地域産業イノベーショングループ
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