レターズアルパック

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221号(2020年5月号)特集「はじまる、はじめる」

新型コロナと地球温暖化


緊急事態宣言がようやく解除された5月末にこの原稿を書いています。
ガラガラだった電車も人が増えてきました。このまま日常に戻れればよいと思う反面、揺り戻しへの不安も大きいです。

 緊急事態宣言がようやく解除された5月末にこの原稿を書いています。
 ガラガラだった電車も人が増えてきました。このまま日常に戻れればよいと思う反面、揺り戻しへの不安も大きいです。
 また、厚労省が、間隔を2メートル、マスクをつける、三密回避などの「新しい生活様式」を提唱しているのも目を引きます。
 この「新しい生活様式」を見て思ったのは、新型コロナ対策と地球温暖化対策には似ている点があるということでした。
 アルパックはこれまで国や自治体から地球温暖化に関する業務を多数受けてきました。地球温暖化対策の取組を大きくわけると、原因となる温室効果ガスを減らす「緩和(mitigation)」と、温暖化そのものは避けられないことを前提に自然や人間社会のあり方を調整する「適応(adaptation)」があり、車の両輪の関係とされています。
 少し乱暴ですが、この「緩和」「適応」の区分を新型コロナ対策に当てはめると、ワクチンや特効薬を開発しウィルスが人体に与える影響を減らす取組が「緩和」で、ウィルスが世界に存在している状態を受け入れ、マスクの着用やステイホーム、ソーシャルディスタンシング等の普及推進、社会経済活動を持続させながらもそうした取組が受け入れ可能な環境を整備するための各種給付金や補助事業などの支援策の総体が「適応」に当たるといえるでしょう。
 新型コロナ対策の「適応」については、その規模と効果の大きさに目を見張りますが、一方で、中小企業向けの持続化給付金や特別定額給付金、アベノマスクなど、事業を巡る混乱ばかりが目につくのも事実です。
 これにはいくつもの理由が考えられますが、「適応」の取組は費用対効果等を算出することが難しく評価が困難な場合が多いこと、営業自粛のように人によって受ける影響が大きく異なり評価が分かれることなど、「適応」特有の困難さもあるように思います。
 実は、地球温暖化対策の「適応」も同じです。地球温暖化で「適応」の取組が本格的に進むのはこれからですが、今回の新型コロナ対策での混乱を参考にいうと、施策の実施根拠を可能な限り明確にして事業を進めることの重用さを改めて確認できたと思います。
 一般化はできませんが、私にとっては新型コロナのもたらした知見でもあり、こうした点を考慮しつつ、業務に挑みたいと思います。

長澤弘樹 サスティナビリティマネジメントグループ

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