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221号(2020年5月号)特集「はじまる、はじめる」

まちの水道屋さんを残す新たな仕組みづくり


 我が国の小規模事業者は全企業数の約85パーセントを占めていますが、経営者の高齢化の進展により、事業承継が課題となっています。小規模事業者には、人々の生活を直接支える事業者も多く、その廃業は、地域の人々の生活利便性の低下につながります。断水や漏水した時、すぐに駆け付けてくれるまちの水道屋さんの存在もその一つと言えます。

 我が国の小規模事業者は全企業数の約85パーセントを占めていますが、経営者の高齢化の進展により、事業承継が課題となっています。小規模事業者には、人々の生活を直接支える事業者も多く、その廃業は、地域の人々の生活利便性の低下につながります。断水や漏水した時、すぐに駆け付けてくれるまちの水道屋さんの存在もその一つと言えます。
 そのような中、昨年度、中小企業の事業承継に係る調査を通じて出会った、神奈川県相模原市にある水道工事事業者の株式会社小池設備では、若い職人を育成し、独立開業を支援することで、事業を承継する新たな仕組づくりに取り組んでいました。

「独立意欲のある人を募集」
 どこの水道事業者も育てた職人を独立させたがらない中、当社では思い切って、最初から独立を前提にやる気のある人材を集めたのです。その結果、社員も明確な夢を持って働くので、独立に関わらず、自ずと仕事にも力が入り、早い成長につながりました。

「事業承継から独立開業へつなぐ仕組みづくり」
 次に、資金力がない若い人の独立に向けて、親会社が廃業する事業者を買収し、当初より100パーセント出資で、事業所を設立、将来の社長候補が事業の推進を担い、事業が軌道に乗ってくれば、親会社から株を買い取り、独立経営するという流れを作りました。親会社は、株の買い取りにより、主資金を上回る回収ができるとともに、事業所ネットワークが広がりスケールメリットが得られます。また、初めから独立することを想定しているので、突然顧客を連れて退社するようなリスクもなくなります。
 社会の変化に対応した受動的な仕組みづくりを超えて、能動的思考で、新たな発想による仕組みづくりにチャレンジすることを教えてくれる事例ではないでしょうか。

「夢」の実現に向けたステップを伴走型で支援

「夢」の実現に向けたステップを伴走型で支援

貴船律子 地域産業イノベーショングループ

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