レターズアルパック

Letters arpak
   
212号(2018年11月号)今、こんな仕事をしています

寺院境内の保育園を段階的に整備する


アルパック創業の頃からお付き合いのある保育園で、園舎の段階的な整備事業をお手伝いしています。

 京都の三条京阪駅を上がると、江戸時代創建の檀王法林寺と、その境内にだん王保育園があります。戦後まもなく仏堂を改造して保育事業を始められ、全国で初めて夜間保育園が認可された歴史ある保育園です。アルパック創業者の三輪泰司が創業前の昭和42年に現在の乳児棟を設計、昭和45年には保育園園舎を設計しました。平成21年の保育園園舎の耐震診断、補強設計を皮切りに再びお手伝いをしています。
 元は寺院境内で始められた保育事業のため、園舎と乳児棟が離れていて動線的に不便でした。また乳児棟は耐震性能も不足しています。さらに、学童保育を行っている昭和初期に建てられた観音堂は老朽化が著しく、対策が必要でした。他にも寺院境内には多くの建物があり、それらの整理と境内全体の方針を考える必要がありました。
 整備方針として保育園機能を保育園園舎の近くにまとめる方針のもと、この10月に学童保育のための多目的保育棟が完成しました。木造平屋40平方メートル、本堂の横に建つことから方形の小さなお堂のイメージです。床、腰壁、天井に木を使う暖かい雰囲気としています。断熱性能をかなり高めており、吹付断熱材を厚くした上に通気も取っているため、この夏の建物内は涼しいほどでした。現在は、新しい乳児棟を建てる準備をしています。
 保育園、寺院境内全体の構想は、次の30年のためのマスタープランでもあります。今後の少子高齢化に直面する保育事業や地域福祉への思いなど、いろいろな要素について施主と検討してきました。境内ではまだ事業が続きます。引き続きお手伝いしていきます。

 

緑あふれる境内。右は栴檀の木。

緑あふれる境内。右は栴檀の木。

 

多目的保育棟の内部。お堂のイメージ。

多目的保育棟の内部。お堂のイメージ。

建築プランニング・デザイングループ/三浦健史

212号(2018年11月号)の他記事

バックナンバーをみる

タグで検索

ページトップへ