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210号(2018年7月号)特集「おとなり」

おとなりの国「韓国」の伝統集落で昔の生活様式や文化に触れる


この歳で初めてとなる海外は、おとなりの国「韓国」で、伝統的な集落である安東市の河回村(はふえそん)と順天市の楽安邑城(ながうぷそん)に行きました。
両集落とも1980年代に韓国の歴史的集落に指定されており、伝統的な家屋やお祭り、しきたりなどの歴史文化が残ることから年間100万人以上が訪れる観光地になっています。

この歳で初めてとなる海外は、おとなりの国「韓国」で、伝統的な集落である安東市の河回村(はふえそん)と順天市の楽安邑城(ながうぷそん)に行きました。
 両集落とも1980年代に韓国の歴史的集落に指定されており、伝統的な家屋やお祭り、しきたりなどの歴史文化が残ることから年間100万人以上が訪れる観光地になっています。

 

城壁から眺めた楽安邑城民俗村

 

世界遺産である河回村は、蛇行した川が集落を囲み、風水をもとに集落が構成されています。川の対岸の丘から一望することができ、その美しさに感動しました。また、1キロメートルほど離れた場所に「観光団地」と呼ばれるお土産店や飲食店が集まっており、集落まではそこからバスで向かいます。約10年前に住民らが動き出し、集落内が荒れないようにと観光客の車の乗り入れを制限し、商業地との分離を進めてきましたが、現状としては、集落内にもカフェやお土産店があるため徹底はできていないようです。
 集落内には、土塀で囲まれた瓦葺きや瓦屋根の家々が立ち並び、農地も点在し、道は観光客が歩きやすいようにと整備され拡幅されていますが、所々に当時の面影が残る路地裏のような、道幅の狭い道もあり、歩いていて楽しくなります。道端には、住民が手入れをしている花が咲き誇り訪れた人を楽しませてくれます。

 

河回村の集落内にあるお土産店

 

半数近くの家屋は日本でいう民宿を営んでおり、その中でも、宿泊した宗家は、四方が建物に囲まれ中心に中庭があり、集落の中では身分の高い人が住むお屋敷です。部屋の入口は、かがんで入らなくてはならないほど低く、広さは4~5畳ほどのコンパクトな空間です。床からはオンドルのじんわりとした温かさが伝わりとても心地良く過ごせました。また、宿泊先のお母さんからは、手作りの伝統的なお菓子をいただき(日本でいう落雁やお饅頭のようなもの)どれも見た目が美しくとても美味しくいただきました。
 道中の高速道路から見える風景は、おびただしい数のマンションが乱立する都市部と田畑の中に数多くのビニルハウスが立ち並ぶ農村部の区分が明確で、そのコントラストがとても印象的でした。農村部においては農地や工場の屋根に太陽光パネルがあり、その点においては日本と同じような景観的特徴がありました。
 楽安邑城は城壁に囲まれた集落で、ドラマのロケ地としても有名です。集落内には、当時の生活の様子を再現した展示があり、テーマパークのような雰囲気が漂っていました。半数以上の家屋は民宿や体験場として活用されており、河回村に比べて観光色が強い印象を受けました。一方で、多くの住民が集落に住み続けており、庭先に野菜や洗濯物が干してあったり、軒先きに椅子が並べてあったり、居住者の生活がにじみ出ている様子も見られました。
 日本において伝統的な家屋が残る観光地では、通り沿いにお土産店や飲食店が立ち並び観光を生業とする住民が多く、その通りの裏側に日常生活が広がっています。一方で今回訪れたおとなりの韓国の集落は、元々、農業を生業としており、農業と生活文化が一体となった景観を形成していますが、現在は兼業農家も多く、観光地ならではの商いも増加しています。観光を生業とする住民と農業を生業とする住民とのバランスが大事だなと感じました。

 

お母さん手作りのおもてなし

地域再生デザイングループ/山道未貴

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