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208号(2018年3月号)特集「はるばる」

クリスマスに合わせてインドのムンバイ(旧ボンベイ)に行ってきました


イギリスに留学している間、仲良くなったインドの友人たちは、温かく気持ちの良い人ばかりで、そのおおらかさに何度も助けられました。彼らを育てたインドという国を一度見てみたい、そんな思いを胸にムンバイへ向かいました。

 イギリスに留学している間、仲良くなったインドの友人たちは、温かく気持ちの良い人ばかりで、そのおおらかさに何度も助けられました。彼らを育てたインドという国を一度見てみたい、そんな思いを胸にムンバイへ向かいました。
 訪れた友人の家族は熱心なカトリック教徒ですが、イスラム寺院に隣接した集合住宅の一角に住んでおり、朝5時から窓枠がブルブル震えるくらいの大音量でコーランの唱和が始まります。何年も聞いていると気にならなくなるのだとか。
 到着早々にクリスマスの準備として、友人一家の出身地である南西部のゴア州の料理を一緒に仕込みました。かつてゴアを統治していたポルトガルに由来する、豚の肉と内臓を酢とスパイスで煮込んだ「ソル・ポテル」という料理です。ヒンズー教やイスラム教で豚を食べることは禁じられているので、クリスチャンのコミュニティならではの一品です。

クリスマスのごちそうランチ

 イブの夜には一家の通う教会で催された真夜中のミサに参加し、カラフルなインド風の衣装で着飾った聖歌隊のコーラスを楽しみました。翌日は朝からカトリックのご近所さんが代わる代わる訪ねてきて、グァバやココナッツでできたお菓子を交換し、ソル・ポテルを振舞ってお祝いしました。
 家の中はクリスマスムード一色ですが、ベランダから外を見ればいつも通りのクラクションの嵐、市場では鶏が捌かれ、売り子の声が響きます。しかし、そんな騒音もお構いなしに、きらめく太陽のもとキャロルを歌って家族と過ごす一日。ムンバイのまちで迎えたクリスマスはちょっと不思議で心温まる経験になりました。

ミサの後、教会にて(左側が著者)

 

アルパックOG/片野直子

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