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209号(2018年5月号)今、こんな仕事をしています

京都市の宿泊業における雇用の安定に向けた調査研究から


「働き方改革」が叫ばれる中、地域経済を牽引する旅館・ホテル業界においては、従業員の非正規率の高さ、及び労働生産性の低さが問題視されています。

 「働き方改革」が叫ばれる中、地域経済を牽引する旅館・ホテル業界においては、従業員の非正規率の高さ、及び労働生産性の低さが問題視されています。
 誰もが働きやすい職場環境を整え、「おもてなし」に精通した様々な能力を持つ担い手の育成に取り組むため、アルパックは平成28年度に京都市及び(一財)地方自治研究機構と共同で「宿泊業における雇用の安定に向けた調査研究」として、京都市における働き手と事業者双方から雇用の実態とニーズを調査しました。
 調査の結果、市内旅館・ホテルの非正規率は約60%と全国並みであり、平均年収(個人)は295万円で全国より高いにも関わらず、正規従業員よりも非正規従業員のほうが満足度が高い結果となりました。また、有給休暇を全く取得していない従業員が5割、育児(介護)休暇対象者にも関わらず取得していない従業員は9割となっており、現在の働き方に不満足の傾向を示す従業員は長時間労働や有休等未取得の傾向にあることも分かりました。
 さらに人手不足の昨今において、旅館・ホテル業界においても過半数で従業員の不足感があることが分かりました。このため、約6割の宿泊施設で正規雇用・正社員転換を実施するとともに、複数の業務を担える従業員の育成や、正社員転換による意識向上の取組が進められています。近年は働き方の多様化、キャリアの多元化が指摘されており、宿泊業の担い手確保・育成についても、同様の視点を持った取組も必要だと考えられます。

 

執筆者:地域産業イノベーショングループ/江藤慎介

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