お知らせ

News
2026.07.10

【京都事務所】7月度技術交流会を開催しました

株式会社地域計画建築研究所(略称:アルパック)では、専門知識を持つ所員が事例を交えつつ知見を共有し合う「技術交流会」を、各事務所で定期的に開催しています。
都市デザイン、住宅、産業、環境、文化、建築設計等、多岐にわたるテーマについて知見を共有し、活発な質疑と議論を交わすことで、社員一人ひとりの専門性を高め合い組織全体の連携強化を図る場としてとして位置づけています。

7月に京都事務所で開催した内容は、下記の3テーマです。
各業務・テーマにご興味・ご関心をお持ちの方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
これからも持続可能な地域づくりへの貢献に向け、所員一同、専門性を磨きながら、連携を密にして取り組んでまいります。

 

                        ー記ー

1)「老朽化した公営住宅の入居者の安全確保に向けた取組(耐震シェルター・借上公営住宅)

生活デザイングループ 太田雅己(おおたまさき)


 築60年超の木造、入居者は60歳以上が中心であり7割が高齢単身者、入居世帯数20件未満の小規模な公営住宅。この老朽化した公営住宅の安全性確保のための取組として、入居者の今の住まいに住み続けたい意向や、住替えるとしても今の住まいの近くで住みたいといった意向を踏まえた対応策について知見を共有した。

 この公営住宅では、当初は建替事業を検討したものの、従前家賃からの家賃上昇、仮移転の発生、長期間の事業による負担など、高齢の入居者にとっての負担が大きいことから見直しとなった。次善策として、①既存住宅への耐震シェルター設置、②民間賃貸を活用した借上公営住宅への住み替え、という、入居者の状況を踏まえた命を守る安全性対策として現実的な着地点として、2つの方針を検討した。
 入居者意向調査を個別訪問で実施し、生活状況の聞き取りから始め、今後の方針としては①耐震シェルターか②借上公営住宅がよいか、①の場合はa.木製の箱型かb.鉄骨のフレーム方式の2種類の内どちらが望ましいかなど、いくつかの選択肢を提示し、無理のない形で実施できる方策の調整を行った。
 また、借上公営住宅においては、物件確保の可能性の確認や、スムーズに入居者の住み替えを行うために、地元の不動産事業者等と対話を重ね事業スキームを構築した。
 最善の策とは言えないものの、各入居者の実情に寄り添いながら着地点を探った、小規模団地ならではの対応策である。

 

2)「持続可能な農業・農村振興の仕組みづくり

地域産業イノベーショングループ 武藤健司(むとうけんじ)

 農業・農村振興に関する3つの業務を紹介し、持続可能な地域づくりと支援者の役割について、所内で意見交換を行った。
 1.京都市の農業者と異業種が出会うプラットフォームを企画・運営し、交流会やワークショップを通じて、スマート農業やAI技術と京都市農業の活用、共創に向けた取組を支援した。
 2.奈良県生駒市では、地域計画の策定を契機として、地域での話し合いを通じた「農業のあり方」の検討、集落ビジョンの作成、新規就農者も参加した推進組織の設立までを一貫して伴走支援を行った。
 3.兵庫県では、持続可能な多自然地域づくりプロジェクトの1つの事業として、地域支援者が地域に入る際に活用できるサポートツールを開発。ツールは、①集落の現状と将来の姿を見える化する「集落のワガゴト化」、②支援者が集落の状況を的確に見立てて集落特性に応じた支援手法の検討に役立てる「支援者が見立てるツール」、③支援プロセスの共有から解法やヒントを知る「集落の知恵袋(データベース)」を構築し、支援者の経験知を組織知へ転換する取組を進めた。
 これらの事例を踏まえ、持続可能な地域づくりと支援者間のネットワークづくり、中長期的な運営方法について、所内の様々な視点・立場から意見が交わされた。




3)「地域防災における災害廃棄物対応の重要性

サスティナビリティマネジメントグループ 齋藤友宣(さいとうとものぶ)
 災害廃棄物処理に関する自治体支援業務の経験や事例に基づき、「片付けごみ対策」と「自治体職員の対応力向上」の重要性について所内共有を行った。
 1.片付けごみ対策
災害廃棄物は、災害により損壊した建物を解体し発生する「建物解体ごみ」と、地震で壊れた家具や水害で浸水した畳など被災して使えなくなった家財道具などの「片付けごみ」に大別される。近年の災害発生後に、公園等に分別されずに山積みになったごみが問題になっているが、これらは「片付けごみ」が堆積したものである。「片付けごみ」は災害発生後すぐに排出が始まり、被災者が生活再建を急ぐ中で分別が徹底されず排出される等、課題になっている。分別されず中身がわからない廃棄物は、処理工程で再分別が必要になるためコストがかかる。また、腐敗性のものが混在していると、臭気の発生や衛生環境の悪化リスクから急いで収集運搬しなければならない。災害時にただでさえ不足している収集運搬リソースの融通が利かなくなり手間がかかる原因になっていること等をデータや現地写真とともに指摘した。
 この対策として、例えば、片付けごみを含む災害廃棄物の仮置場候補となる公園等について、敷地の状況や災害復旧住宅など他用途での利用有無などを事前に整理し、平時から市民へ公表している大阪府茨木市の事例などを紹介した。
 2.自治体職員の対応力向上
災害廃棄物処理は、復旧・復興に向けた第一歩と言われている。被災地にいつまでも災害廃棄物が留まっていると復旧・復興に向けた動きがとれないため、できる限り早く処理することが必要だ。しかしながら災害発生後は、ごみ処理施設の故障や、収集運搬車両・人員の不足などにより、「普段よりもごみが多量に排出されるにもかかわらず、施設や機材、人員が不足する」という厳しい状況に直面することになる。このような状況の中で問われるのが自治体職員の対応力である。
 この自治体職員の対応力向上を目的に先進的な自治体で行われている「災害廃棄物処理図上演習」の事例を紹介した。「災害廃棄物処理図上演習」は実際の災害廃棄物対応を模擬体験するシミュレーション型の訓練で、同時多発的に発生する様々なシチュエーションに対し限られたリソースを活用しながらどう対応するかを検討するものであり、訓練効果が高い。

 災害発生後の災害廃棄物への対応を事前に検討しておくことや、平時から市民とコミュニケーションをとっておくこと、そして地道な訓練を継続的に行っていくことの重要性について社内で共有、都市計画や建築など他分野で専門性を持つ所員と意見を交わした。



以上

ページトップへ