レターズアルパック210号

風水により計画された村~韓国の歴史的集落河回村と楽安邑城~

執筆者;都市・地域プランニンググループ/松下藍子

 4日間で韓国の国土のおおよそ南半分を大移動しながらの旅、その中で韓国中央部に位置する安東市河回村と、南部に位置する順天市楽安邑城に行ってきました。
 両村とも元々農業を主要な生業とした集落であり、伝統的な家屋や景観がよく残ることから、現在は多くの観光客が訪れる韓国を代表する歴史的集落です。
 この集落は、いずれも風水の考え方を取り入れて計画されています。最初に行った河回村は、四方を山と大きな川で囲まれた、広々として自然の力強さを感じる眺め。瓦葺と藁葺きの伝統家屋と伝統的な生活文化がよく残っていることから、ユネスコの世界遺産に登録されています。風水では、集落に対する山や川の方向が重視されることから、家屋の向きが一方向になっていないという特徴があるようです。集落の中央部には大きなご神木があり、ここで重要な祭事が行われます。集落内を歩くと、ほとんどの家屋の門戸には縁起のいい文字が書かれた札が貼られ、人々が日々の暮らしの中において、伝統的な思想を大事にしながら暮らしているのだと感じました。


 芙蓉台と呼ばれる高台から眺めた河回村

 古来より、風水の思想は、韓国の都市・集落において非常に重視されていたようです。調べてみると、日本でも平安京や平城京などが風水を取り入れられて計画されたようです。広辞苑では、風水は、「1.吹く風と流れる水。2.山川・水流などの様子を考え合わせて、都城・住宅・墳墓の位置などを定める術。特に、中国や李朝朝鮮では墓地の選定などに重視され、現在も普及。風水説。」と書かれています。つまり、吉凶をみるという意味を強く捉えていましたが、根源には、周辺環境を読みとりながら、その関係をいかに結ぶかということがあるのです。
 韓国では、今も都市計画の際には風水師を呼び、風水の思想を取り入れる事例があるそうです。経済性や利便性を最優先に求めがちな現代において、自然に反することなく、よりよい関係を結ぶ風水の考え方は、暮らしの豊かさを実現する根本的な考え方として大切にしていくべきものだと感じました。


河回村の集落の中央部にある神木

河回村の家屋の門戸に貼られた札

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2018年7月発行

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