レターズアルパック210号

密集市街地のこれからを考える

執筆者;都市・地域プランニンググループ/中井翔太

 密集市街地の改善は、古くからの市街地やスプロール市街地を有する都市において、かねてより研究・実践の両面から取り組まれている課題です。
 アルパックでも、業務を通じて密集市街地の課題分析や改善方策の検討に取り組んでいます。昨年度は、国土交通省国土技術政策総合研究所からの受託調査において、密集市街地の整備阻害要因に関する調査・分析を行いました。
 密集市街地の整備阻害要因は、「経済的要因(地域経済の停滞)」や、「空間的要因(未接道敷地や狭小敷地が多い)」、「所有に関わる要因(所有者不明土地や権利関係の輻輳)」といった根源的な要因に端を発し、居住者の高齢化、地域イメージの低下、空き家の増加といった社会的な要因が相まって複雑化しているといえます。また、特に関西圏の都市では、密集市街地が広域に渡り分布していることから、事業ボリュームが大きく、ドラスティックな改善が期待できる方針を採りがたいという状況も見られます。
 密集市街地の改善は、市街地を評価する指標値(不燃領域率、地区内閉塞度等)の向上が至上命題となっています。今後、改善を促進するためには、前述のような状況を受け止め、単体では指標値の向上に至らないものの、その蓄積により一定の防災性が獲得できたり、地域の価値を高めることで市街地更新を促進するような“ 急がば回れ ”の取組にも目を向けていくことが重要ではないでしょうか。また、そのためにも客観的な要因分析に基づく、改善に向けた戦略的・総合的なシナリオ構築が求められるといえます。
 市街地は、個人の活動の積層により形成されます。これら改善に向けたシナリオとともに、各主体のメリットや役割を地域や事業者と共有していくことが重要なのではないでしょうか。アルパックでも、引き続き、密集市街地の改善に関する研究を続けていきたいと思います。


 

レターズアルパック210号・目次

2018年7月発行

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