レターズアルパック207号

消えるクラヤミと梅北道路の復活

執筆者;都市・地域プランニンググループ/石川聡史


地下道:かつてはもっと暗く長い空間でした

 新しいまちができるということは、これまであったものが消えていくことでもあります。
 現在整備が進められているJR大阪駅北側のうめきた再開発の場合、すでに貨物ターミナルがなくなりましたが、もう一つ地味ながら消えていく運命にあるものがあります。
 皆さんは、梅田と大淀方面を結ぶ「梅田地下人行道」をご存じでしょうか。梅田から新梅田シティ(梅田スカイビル)に行くときに通る地下通路といったほうがわかりやすいかもしれません。昭和3年開通というこの地下通路は、かつて500メートルほどありましたが、うめきたの開発に伴って段階的に地上化されていき、2017年12月には40メートルほどを残すのみとなって2024年ごろには完全に消える運命にあります。
 ちなみに、地下通路ができる前は、梅北道路なるものがあったのですが、貨物ターミナル整備に伴って廃止され、それに対し、地元住民が鉄道省に陳情して地下道が整備されたそうです。つまり、この地下通路の地上化は約100年を経た梅北道路の復活とも言えます。
 さて私は子どものころ、この近くに住んでいたため、自転車などで通行することもあったのですが、今と違い薄暗いジメジメした少し薄気味悪い空間に思えて、子どもの間では「クラヤミ」と呼ばれていたものです。一方で、下町の雰囲気が残る大淀と華やかな梅田を結ぶこの通路は、これらの異世界をつなぐ暗闇であり、今思えば雪国ではないものの「長いトンネルを抜けるとそこは・・・・」を体感できる面白い遊び場でした。
 そのクラヤミが変わりだしたのが約25年ほど前のこと。新梅田シティの開業で照明が強化され、壁面には装飾もなされました。人通りも一気に増えました。


梅田側出入り口にある銘板:「梅北道路復活期成同盟會」という団体が鉄道省に陳情してつくられたと書いてあります

大淀側の出入口:大阪市の市章を3つ組み合わせたオブジェがあります  

 大淀側の通路の出入り口正面が新梅田シティだったため、周辺へのにぎわいの波及は限定的でしたが、今後、うめきた2期の進展に伴い、大淀のまちもどんどん変わっていくことでしょう。クラヤミがなくなってしまうことは少し寂しい気もしますが、まちがにぎやかに発展していくことを期待したいと思います。


レターズアルパック207号・目次

2018年1月発行

特集「チャレンジ」

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