レターズアルパック204号

特集「涼む」
京の山紫水明を体感する鴨川納涼床  

執筆者;都市・地域プランニンググループ/水谷省三

四条河原町から歩いて八坂神社方向に向かうと四条大橋に出ます。

 この時期、橋詰付近から上下流を眺めると、鴨川のみそそぎ川沿いに鴨川納涼床が連なって見えます。京都の夏の風物詩である納涼床は、二条大橋から五条大橋の区間約2.5キロメートルに約100軒の店舗があります。
 納涼床を河川側に張り出して営業できる期間は、5月から9月の5ヶ月間に限られています。うち5月と9月は昼間の営業も行われ、午前中から納涼床を利用することができます。
 鴨川納涼床の起源は、江戸期初頭まで遡ると言われています。当初は、今の高床式の納涼床とは異なり、床几を川面近くにならべる形態が主流で、裕福な商人たちが、河原での涼みを楽しんでいました。こうした納涼床の姿は、祇園祭とともに京の年中行事となり、また、鴨川の琵琶湖疏水鴨川運河など左岸の護岸改修と密接に関わりながら、京都の伝統文化に欠かせない風物詩として、京都のくらしの中に定着してきました。
 鴨川納涼床のいちばんの特徴は、鴨川右岸を流れるみそそぎ川の上に張り出した高床の姿と、鴨川の本流を眼下にみながら東山連峰を展望できるロケーションにあります。三条大橋より上流域では比叡山や北山も眺めることができます。


夕暮れどきの納涼床(7月)

お昼どきの納涼床(5月)

 古くから東山を望む鴨川の美しい景観は、「山紫水明」と表現されます。ことに川面が暗くなり始め、東山の風景が紫色に染まる時間帯は格別で、納涼感を体感できる絶妙のスポットになります。納涼床は、まだ周りが明るい頃から利用することをお勧めします。
 近年、納涼床を出す店舗は、京料理をはじめとし、フレンチやイタリアン、中華料理、タイ料理などの飲食店から結婚式場まで多様化しています。なかには、カフェやショットバーなどの店舗もあり、気軽に納涼床を体験できるようになってきています。また、納涼床といえば、座卓や座布団の置かれた座敷型の床が主流でしたが、店舗の多様化に伴いテーブル席が多くなってきました。掘り座卓式の床もいくつか見られます。
 納涼床の形は時代とともに変化し、進化していますが、暑い時期の屋外で山紫水明を体感しつつ納涼する文化は、変わりなく京の人々の間で息づいています。


木屋町通から納涼床がチラリと見えるアプローチ

座卓式の納涼床

テーブル席の納涼床

レターズアルパック204号・目次

2017年8月発行

特集「涼む」

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