アルパックニュースレター164号

『人口減少時代における土地利用計画~都市周辺部の持続可能性を探る~』

著者:川上光彦・浦山益郎・飯田直彦+土地利用研究会 発行:学芸出版社
執筆者;大阪事務所 橋本晋輔

本表紙

持続可能な都市のかたちとは

 本格的な人口減少社会の到来や地球環境問題への対応などから、近年「都市のかたち」について議論されることが多くなっています。持続可能な都市のかたちとして言われている「コンパクトシティ」などは都市計画に携わっていなくても言葉だけは聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。本書は、その集約された都市構造(=コンパクトシティ)について、そもそも現在の薄く広がった都市構造の中で、具体的な「目指すべき都市のかたち」「持続可能な都市のかたち」は一体どのようなものなのか、また集約型の都市構造を実現するための現在の都市計画・土地利用制度の現状はどうなのかについて、都市の周辺部から考えるというテーマで、都市計画に関わる研究者、行政担当者、コンサルタント、総勢21名が、それぞれの専門分野ごとに考え方を書いています。

地域に応じたマネジメント

 内容としては第1部に持続可能な都市の形態と主な都市計画・土地利用制度について、第2部に都市周辺部における主な都市計画・土地利用制度の現状と課題を、第3部に持続可能な都市に向けて土地利用や都市構造のコントロールに取り組んでいる自治体等についての事例が書かれています。それぞれの内容は非常に詳細、多岐にわたるため、詳しくは紹介しきれませんが、目指すべき都市のかたちとして「(1)拠点に人口が集約された」というだけでなく「(2)拠点間のネットワーク化」「(3)市街地外の保全や開発抑制」が必要であるということ、都市の周辺部を一律的にシュリンク(縮小)することは現実的でなく適切でもないため、持続可能性を考えながら地域特性に応じてマネジメント、コントロールする必要があるということが、総じて述べられています。

持続可能な都市のかたち=持続可能なライフスタイル

 私も、交通の面から第2章の一部を執筆させていただきましたが、自動車を中心としたライフスタイルへの変化が薄く広がった「都市のかたち」を作り上げてきたという部分も大きくあります。そういう意味では市街地の周辺部をただ単に規制し、中心部にただ集約するのではなく、土地利用と交通計画をリンクさせて一体的に考えることが「持続可能な都市のかたち」を考える上では欠かせないことだと思います。
 また、本文中にも少し触れていますが、自動車を中心としたライフスタイルは「都市のかたち」が変化しただけで簡単に変わるものでもありません。そのため私たちが、どう自動車に過度に依存しない持続可能なライフスタイルに変わっていくかも重要なことであり、そのことが更には自分のまちに対する愛着につながり、本当の意味での持続可能な都市の実現につながっていくのではないでしょうか。